著者の三枝氏の本は前職でチームを率いている時に何度も読みました。若くして部長職に抜擢されたものの、その当時会社は赤字が続き危機的状況でした。
そんな時に著者の本に出会い、なんとかその危機を乗り越えられてきました。
一般的な戦略書と違い物語形式で展開されていることもあって、自分ごとのように読める本でした。
そんな著者の集大成とも言うべき作品が今回の「会社改造」というのですから、今はこじんまりと事業を行っているとは言え、読まずにはいられませんでした。
著者が社長就任時340名だった社員数は12年後の彼の退任時に1万名にまで増え、売上も1200億円と就任時の倍以上に伸ばした「ミスミ」で実際に起ったことが綴られています。
当然ながら、よくある成功本のような薄い内容ではなく、成長のプロセスが論理立てて紹介されています。その中には戦略のプロである著者ですら陥った罠についても赤裸々に書かれています。
リーダー能力の切れ味は、「3枚セット」のシナリオをいかに的確かつ迅速につくるかにかかっている。
1枚目は「現実直視、問題の本質、強烈な反省論」
2枚目は1枚目で出た問題の根源を解決するための「改革シナリオ、戦略、計画、対策」
3枚目は2枚目に基づく「アクションプラン」
自分も含めていかに日本の会社が戦略もなく、根性論で勝負しているのかがよくわかります。戦略っぽいものは持っているのですが、実際は詰めが甘かったりと、この本で最初に登場する事業部長と同じような思考に陥ってることが多々あります。
「なんとなく去年の伸び率がこのくらいだったから、このくらいの数値で良いだろう」と事業計画を立てていた自分が非常に恥ずかしくなりました。
この本を読んでいる時に、ふと松下幸之助の「値切りは半額に、値上げは3倍に」を思い出しました。半額や3倍にするためには、ちょっとしたことではなく、180度以上考え方を変えないと達成することはできないです。
戦略を組み立てるのも同様で、今の延長線で考えていてはダメで、今までの強烈な反省が必要です。その反省を元に導き出された改革シナリオ。改革シナリオに基づくアクションプランを決めたらあとは愚直に実行する。
ちょっと考えると当たり前なんですが、目の前の仕事に疑問を持たずにいるとついついながされてしまいます。今の延長でしかものを考えられていない自分には目から鱗の内容でした。
10年とは言わずとも数年で大ジャンプをするためにもう一度ストレッチできるギリギリの戦略を考えようと思います。
以下の本を先に読んでから読むとさらにすんなり理解できます。