自分のオフィスからは飛行機の離発着が見えるのですが、12時頃にやってくるかわいらしい飛行機が気になっていました。
それで調べてみると、天草エアラインの機体だということがわかり、この小さな航空会社を興味がわきました。
天草エアラインは、保有機体1機の日本一小さな航空会社です。
ただ、税金で作られた地方の航空会社だけあって、そのダメっぷりと言ったらひどいものでした。
そこへ、JAL出身の著者である奥島透さんが社長につき、この天草エアラインを復活させます。
日本一小さな航空会社の復活
「日本一小さな航空会社の大きな奇跡の物語」はそんな天草エアライン復活の物語です。
大きな奇跡とタイトルにはありますが、本当に小さなことを地道に行っていくことで実績に結ぶついたのではないかと思います。
まず社長が会社にいないなんて、普通ではありえないですが、お役所からの出向社が社長だと当たり前になっちゃうんですね。
著者は社員と接する時間を長くすることで、どんどん社員と打ち解けあっていったとあります。こういったちょっとしたことが会社の雰囲気をよくすることはよくあります。
熱量の高いトップが来ると組織はあっという間にいい熱量になっていきますね。
正直に、愚直に仕事をやっていくと自然と運というか、いい出会いが引き寄せられてくる、そんな奇跡が起こることを本書は教えてくれます。
パラダイス山元さんや小山薫堂さんが天草エアラインに協力したのも社長の熱量が合ったからだと思います。
そして、経営の基盤に「飛行機に乗ること自体が目的となる航空会社をめざす」を据えられました。
天草に行くのが目的ではなく、天草エアラインに乗ってみたくなったので、天草に行くという流れができたのです。
経営方針が固まったことでブレずに会社をその方向に持っていくことができます。
移動手段としての飛行機という軸で戦っていては、大手の航空会社やLCCとの戦いになっていましたが、天草エアラインに乗ることを目的にすることで、その戦うフィールドそのものを変えてしまったように思います。
こういう視点がないといつまでも不毛な戦いを続けることになりますが、天草エアラインはそこが本当うまかったですね。
本書を読んで、天草エアラインに乗ってみたくなった自分は間違いなく、著者のマーケティング戦略にハマったようです。