中国によく出張に行く友人から、最近の中国の発展ぶりをちょくちょく聞いていました。
友人曰く、ここ3年位で完全に逆転したと言われて、中国のことをもっと知っておかないとと思い、手にとったのが「二〇二五年、日中企業格差」という本です。
「遅れた国」ニッポン
本書でも紹介されているのですが、中国からすると日本は相当遅れた国になってしまったようです。
日本向けの旅行案内には、「日本は遅れた国なので、現金が必要です」と注意書きがしてあるというから相当なものです。
彼らが日本に旅行に来る理由が先進国ニッポンを見たいのではなく、のどかな田園風景を見たいがためだとしり、愕然としました。
一党独裁体制の強み
本書では、アリババ、テンセント、ファーウェイなどここ数年で世界有数の時価総額を誇る規模になった企業が取り上げられています。
もともとマーケットが大きいというのもありますが、国を挙げてこれらの企業をバックアップしています。
ご存知のとおり、中国ではグーグルやLINEはブロックされていてアクセスすることすらできません。国と共に成長する。国が守るという姿勢が明確です。
さらに、法律や規制も一党独裁体制の強みなのか、新しいテクノロジーに合わせてどんどん変わってきています。
憲法を変えるのに、何十年も議論している日本とは話にならないレベル差です。
本書でもでてくるが、日本とビジネスをしようと思うと、時間がかかりすぎて話にならないという。決裁を得るまでに何十人も承認がいる。
中国の場合、その場でトップが決断して物事がどんどん進んでいきます。
シャープが良い例です。トップダウンでどんどんものごとが進むようになったとたんに一気に黒字転換しています。
1人に権限が集中することによる弊害はゴーンさんの事件で叩かれていますが、自分はあまりそうは思いません。
トップがどんどん決めてやっていかないとこの変化の早い時代に世界から置いてけぼりをくうのは目に見えています。
経営者が有名なところほど、強い会社というのが今の潮流ではないかと思います。
ゴーンさんの事件は今はなんとも言えないが、いかにも日本らしいなと思う次第です。
社会市場主義経済vs資本主義経済
本書で著者は、中国は「社会市場主義経済システム」をゾンビのように蘇えらせるかもしれないと言っています。
その理由として、以下の4点をあげています。
- 社会市場主義経済の決定のスピードの速さと、第4次産業革命の変化のスピードの速さ
- 社会市場主義経済の大量の資本投下システムと、第4次産業革命の発展の度合い
- 社会市場主義経済のビッグデータの活用能力の高さと、14億という世界最大の人口
- 社会市場主義経済のプライバシーの軽視と第4次産業革命によるプライバシーの消失
こうみると、たしかに第4次産業革命において、社会市場主義経済というのは親和性が非常に高いと言えますね。
今後のグローバルの経済覇権をどんなタイプの国家運営方式が握るのか気になるところです。
今の中国を知るにはぜひ読んでおきたい一冊です。